競輪の予想が上手い方は必ず並び(ライン)について深い造詣があります。
それは何故かというと並びから読み取れる情報が選手の戦法などにも繋がり、勝利選手の推理に大きく役立つからです。
今回の記事を読んでいただければ、並びについて理解し、競輪ライフがより楽しくなるでしょう!
競輪の並びを使った実践的な予想もご紹介しますので、ぜひ予想のご参考にしてください。
目次
競輪の並びとはどんなもの?
まずは、並びとは何かについて説明していきたいと思います。
競輪における並びとは、競輪競走時に選手同士で協力しあって上位入賞を目指すレース上でのグループの事を言います。
なぜ選手同士協力しあって並びをつくるのかについてですが、結論から言うと、空気抵抗があるからです。
なんと競輪選手の自転車の速度は時速60km以上にも達するのです。
オートバイなどに乗る方はわかるとおもいますが、このくらいの速度になると空気抵抗が非常に大きくなります。
これは秒速17mの風が常に吹いている時と似ていて、いかに大きな空気抵抗になるか想像しやすくなると思います。
誰かが先頭を切ってくれて風よけになれば後ろの選手は空気抵抗が小さくなります。
では、どのくらい後ろの選手が楽なのか実測した結果を発表しているサイトによると、時速65kmで走ったとき先頭の選手に比べて後ろの選手は約2/3のエネルギー消費で済む事が報告されています。
同じ速度で走っていても風よけのあるなしで、消費する体力がかなり違うことが分かると思います。
陸上競技などであれば、世界記録の更新などの目的もあり、より早くゴールに到達することを目的にしています。
しかし、競輪は違うのです。
競輪では予選なども必ずしも1着でなければならないということはありません。
目的は体力を温存しつつ、決勝に上がり賞金の高いレースに優勝することです。
では実際のレースではどうなるかというと、序盤、選手たちは空気抵抗が小さくなるよう遅い速度で走ることになります。
これなら誰かに風よけとして利用されることは少なくなります。
しかし、実際は先頭誘導員というペースメーカーが存在します。
誘導員は現役の選手がつとめますが、競走者としての参加ではなく審判側の一部でのさんかとなります。
レーススタート直後から先頭に立って風よけとなり、先行の仕掛けをめぐる駆け引きが始まるくらからコースから外れます。
これはレース序盤が非常に遅いペースになるのを解消し、レースが動き始めるときの速度をコントロールする役割があります。
競輪の並びを使った予想方法
競輪の並びを使った実践的な予想方法をご紹介します。
競輪の並び予想をする上で大事なポイントは3つです。
- 並び情報
- 並びごとの戦略
- 選手の能力
ポイントを押さえながにどうやって予想するのか競輪ステーションの出走表をもとに解説します。
並び情報
並び情報は競輪場の公式ホームページや予想紙、競輪情報サイトでチェックできます。
引用元:競輪ステーション
URL:https://keirin-station.com/
今回は競輪ステーションの予想表を参考にします。
競輪ステーションの「周回予想」が競輪における並び情報となります。
上記画像の場合「5・2・6」番車は北海道・東北の地区が異なる並び
「1・7・4」は四国並び、「8・3」は関東並び「9」番車は山口で同地区の選手がおらず単独勝負となります。
この並び情報から3対3対2対1で四国並びか北海道・東北の地区が異なる並びが有利ということがわかります。
並びごとの戦略
次にチェックするが「並びごとの戦略」です。
並びごとの戦略はどの並びが有利にレースを運ぶか予想する戦略で競輪ステーションでは「B(バック回数)」で残り半周バック戦を先頭で通過した回数を示しています。
回数が多い選手ほど半周時点で先頭を走ることを予想できます。
競輪では残り半周をいかに先頭で通過するのかがレースの決まり手となりますので、このレースでは1番車のいる四国並びが有利だとわかります。
また、1番車の後ろにいる「7・4」番車も風の抵抗を和らげられるので展開を有利に進められます。
選手の能力
最後にチェックすべきなのは「選手の能力」です。どんなに並びが有利だとしても選手の個人の能力が高くなければ、並びのない単独勝負の選手に負けます。
選手の能力のチェックは直近4カ月の「平均競争得点」と「勝率」の2点を見ます。
勝率が最も高いのは北海道・東北の地区が異なる並びの「5番車」続いて四国並びの「7番車」、得点では四国並びの「1番車」となっています。
ここまでの競輪の並び予想をまとめます。
有利な並び:四国ライン・北海道・東北の地区が異なる並び
勝率:東北の地区が異なる並びの「5番車」・四国並びの「7番車」
得点:は四国並びの「1番車」
上記の情報から並びで有利なのは「四国」、半周時点で先頭にくる可能性と選手の能力は四国並びの「1番車」と四国並びが有利だということがわかります。
3車立ての「四国ライン」が有利で1着に「1番車」、2着に1番車か1番車の風を遮れる「7・4」車と予想できます。
競輪の予想で並びを重視するのなら情報がまとまっている「競輪ステーション」をおすすめします。
実際にはどんな動きになるか?
ここまで簡単に並びがなぜ出来るのかと、その役割について説明してきましたので、実際の動きがどんなものになるか説明していきたいと思います。
競輪選手全体で見ると追い込み選手の方が先行選手より数が多いので、1つのレース先行選手は3人前後いるのが普通です。
先行選手の後ろに追い込み選手が付けます。
これは、先行選手がその名の通り先行するのを期待しての作戦です。
それぞれ並びの先頭の先行選手同士は、先行をめぐって駆け引きし争います。
並びの追い込み選手はラインを組む選手から離れないように付いていき、場合に応じて後続選手をブロックしたりと、いわゆる仕事をします。
どんな選手と連携するかが重要
選手同士の連携について説明します。
連携するにしても、ただ同県選手で並べば良いわけではないのです。
連携するラインはどんな選手と並ぶ順番が重要となります。
追い込み選手にとって、先頭の先行選手の直後の2番手が最も有利になります。
実況でもよく聞きますが、番手と言えばこの2番手のことを指します。
3番手以降の追い込み選手は、先行選手との間に他の追い込み選手がいる分だけ勝つチャンスは小さくなってしまいます。
しかし、ラインの先頭が先行できればゴール手前で上位にいる可能性が高まるので、番手が取れかった場合には悪くない作戦となります。
ラインを構成する選手がどのように決まり、ラインの中での追い込み選手の並びがどう決まるかという問題があります。
これは別に競技ルールで決められているわけではなく、自然発生的に行われます。
ゆっくり走る序盤から誰かが先行することでレースは動きます。
この先行をめぐっての駆け引きはラインの先頭の先行選手が行います。
追い込み選手はラインを目標に追って走ります。
先行争いを行うとき、ラインを引き連れている先行選手は1人で先行するより有利になります。
先行する力のない追い込み選手が自分の後ろを固めてくれているので、先行中やゴール前で追い抜かれる恐れが低くなるメリットがあります。
ラインが長いと他の先行選手との距離が大きくなるのでそれだけ有利になります。
そして、追い込み選手はラインでの位置を守るという仕事に徹することで、ラインの先行選手をより積極的に動くよう促進しようとします。
すなわち、追い込み選手はゴール前でラインの先行選手を交わそうとするのだが、そのタイミングをなるべく遅くしようとします。
追い込み選手にとっては早めに交わしにいった方が有利な場合が多いのですが敢えて遅くすることが多いです。
こうしておくと、ラインの先行選手はゴール前での速度が多少鈍っても、より積極的に先行するようになります。
実はそれが追い込み選手の狙いで、追い込み選手と同じように積極的に動くと空気抵抗が多い先行選手は追い込み選手より体力が消耗し、総合すると追い込み選手にとっても有利になるのです。
では重要な並びはどのように決まるのか?
ここまで並びの重要性や機能について触れてみましたが、ここからはどのようにして並びが決まるかについて解説していきたいと思います。
通常であれば追い込み選手は強い先行選手、あるいはより積極的に先行する選手をマークしたいと考えます。
メンバー中、最も強い先行選手の番手は追い込み選手全員が欲しいと考えます。
しかし、番手をめぐり競り負けると大敗につながるので、弱い追い込み選手は初めからあきらめて強い選手の番手には行かなくなってしまいます。
もし、ある追い込み選手が断然の強さだったら、その選手が競り無しで最強の先行選手の番手を取ることになります。
このように、強い追い込み選手ほど、良い位置を周れるという大原則がある。強い追い込み選手から順番に良い位置を選んで行き、最終的なライン構成が決まります。
良い位置というのは、より強い先行選手の番手、そこが空いてなければより強い先行選手の3番手となります。
しかし、実際にはこの原則だけではうまくいかない場合がほとんどなのです。
ひとつのレースに6人前後いる追い込み選手の強さの序列は、普通はきっちりと定まらないのです。
同じような強さの選手が複数いる場合、両者は競りになって余分に体力消耗をしてしまいます。
こうなってしまうと先行選手も完全に自力だけで逃げなくてはいけなくなり誰も得をしないのです。
余計な競りは追い込み選手に取って競りは大きなリスクになります。
例えば競り負けて大敗したり、相手と共倒れしてしまったり、落車して怪我をしたり、そしてたとえ競り勝ったとしても体力を消耗してゴール前の差脚を欠くことになります。
そのため、追い込み選手は毎レース競るわけにはいかず、競るくらいなら妥協して少し悪い位置を周っても良いと思うようになるのです。
しかし、常に妥協ばかりしていては良い番手に行けず成績が残せないので、どんな場合に良い位置を主張して、どんな場合に妥協したら良いのか、相手がいることなので非常にむずかしいのです。
これを解決するにはどうすれば良いか、これを解決するために生まれたのが並びなのです。
選手の所属地域でまとめてグループ化する方法が暗黙のルールとして使われています。
例えば、あるレースで、東京の先行選手Aがいると東京近辺の追い込み選手が集まってラインを作ります。
大阪の追い込み選手Bがいて彼がその東京のAの後位に魅力を感じても、地域が違うのでそこには行かず他の大阪近辺の先行選手のラインを選ぶことになります。
BはAの後位を取りたかったがこのレースでは競りを避けて妥協したわけです。
このように、追い込み選手にとってレースのメンバーに同地区の強い先行選手がいると有利になり、そうでないと妥協することになります。
この選手の所属地域によるグループには、地域は階層的なので狭い範囲から広い範囲まで無理なくグループにできる、という便利な点があります。
地域分けの法則があった
日本で地域というと都道府県別でみると47都道府県となりグループが多くなりすぎてしまいます。
そこで、競輪の組織は全国を8つの地域ブロック(北日本、関東、南関東、中部、近畿、中国、四国、九州)に分けて管理しており、その地域ブロックが並び構成でも基本になります。
競輪は三分戦が基本ですから、関東ラインや中部ライン、九州ラインと言うように分かれることになります。
あるレースで関東の選手が1人しかいなかったとして、1人ではラインができなくて困りますが、例えば南関東に2人の選手がいれば合体して3人でラインが組めたりします。
これはラインが組みやすいように地域を任意に広げていけるのです。
反対に、あるレースで6人が関東だったとします。
ラインの5番手6番手の選手はチャンスがないから、6人でラインを組むには多過ぎます。
そこで、茨城と栃木、埼玉と東京はそれぞれの競輪組織上のつながりがあるので、これを意識して茨城栃木ライン、埼玉東京ラインに分かれたりします。
今回は任意にグループを狭めたわけです。
このように、あるレースでメンバの所属地域に散らばりや偏りがあっても、柔軟に地域ラインにグループ分けをしていきます。
こうしてラインのグループ化が行われた後、今度はライン内の選手の並びが決められます。
まずは、先行選手がラインの先頭になります。
ライン内の追い込み選手は2、3人と少ないこと、同一地域の選手同士なので力関係が分かっていて話がつきやすいことによると考えられています。
並びはあくまでも暗黙のルール!
上記がライン構成が決定される基本的な仕組みです。
選手同士の余分な競りを避けながら、それでいて妥協してばかりという状況にもならないように、上記のような並びを決める暗黙のルールが自然発生したのです。
しかし、常にライン構成がこのルールできっちり決まるわけではないのが競輪のおもしろいところです。
地域ごとのラインは絶対的なルールではなく、他選手と競ってでも位置を取りに行きたければいつでも破ることが可能なのです。
また、地域ラインの選手の中で先行選手がいない場合、すなわち全員追い込み選手になってしまった場合、競りが生じる可能性が出てきます。
このようなラインは先行選手がいないのでただ並んで走っていても勝機がなくなってしまいます。
そこで、最も強い選手が先頭を走り他のラインを捌きに出て、他ラインの特定の先行選手に目標を定めてその番手に競りに行ったり、レースが動いたときに先行しそうな選手の後位に飛びついたりして戦います。
また、自ら捌く追い込み選手がいない場合は、ラインが分裂して他のラインの後ろを周ることもあります。
地域でラインを作るというのは、最初に述べたように、無用な競りを避けるための方法であり、他に良い方法があればそれを使っても良いのです。
しかし、地域ラインはよくできていて、これに替わる方法はなかなか出てこないのが現状です。
地域ラインには以下のような長所もあります。
選手の所属地域というのは公開情報なので、選手だけでなく観客や運営者もよく知っています。
そのため、グループ分けの指標としては分かりやすくて公明正大です。
選手同士しか知らない情報をもとに暗黙のルールを使ってラインを決めることは不透明になり、お金をかけるギャンブルとしては不適切に思えます。
また、地域でラインを組むことは選手にとって技術的に連携が取りやすいと想像できます。
選手は地元の競輪場を練習の拠点にしているので、練習仲間とラインを組むことが多くなり、能力や特性をよく理解した選手と連携できるようになります。
同じラインの選手が強いと自分も有利になるので、同地域の選手同士の練習を活性化させるようになります。
まとめ
ここまでの解説で、並びの重要性や成り立ちから機能について理解が深まったと思います。
実は明文化されたルールではなく、暗黙のルールだったのが意外だったとおもいます。
近年の競輪選手はTwitterなどもやっているので、選手同士のつながりを確認できるツールが増えています。
地域グループだけではわからない隠されたグループが見つかるかも知れないので要チェックです。
競輪はスポーツ新聞から専門誌、はたまたインターネットまで様々なところに情報が落ちています。
この情報を拾い集めてひとつの大きな絵を描くことが競輪観戦をさらに楽しむ
近道と言えます。