競輪は公営競技でもあり、鍛え抜かれた身体で勝敗を争うスポーツなので、常に公平に戦ってはいかなければいけません。しかし、その公平さをなくすドーピングがあるのもまた事実です。
ドーピングを使用して競輪のレースに出場していたら不公平がうまれてしまい、競輪本来の楽しさも大きく低減してしまうでしょう。
またオリンピック競技にもなっている競輪の選手が、薬物などを使用して肉体改造をおこなっていたら、どのようなことになってくる思いますか?
そこで、当記事では競輪におけるドーピング問題などくわしく紹介していきます。
競輪選手のドーピングってあるの?
鍛え抜かれた脚力使って闘う競輪。競輪に限らず、ありとあらゆるスポーツでは、勝負の公平さを保つために基本的に薬物などのドーピングは禁止されています。
しかしドーピングが禁止されていると分かっていても、どのようなスポーツでもドーピングを使って出場してしまう選手がいるのが現実です。
ドーピングを使うことによって、肉体の強さが高まり勝負には勝てるかもしれませんが、スポーツとしての楽しさがなくなってしまうでしょう。
以下では、競輪界におけるドーピング問題についてさまざまな角度から紹介していきます。
ドーピングは基本的に禁止されている
上記でも説明した通り、競輪もスポーツの1種なのでドーピング行為は禁止されています。
その理由はもちろん、スポーツとしての公平さを失ってしまう理由もありますが、選手自身の身体を壊してしまうことにもつながってしまうからです。
「勝負で勝ちたい!」「実力以上の結果を残したい」という気持ちからドーピングする選手はいますが、禁止薬物などを使用してしまうと身体に無用な負担をかけてしまったり、日常生活にも影響をおよぼすことがあります。
ドーピング薬物にはさまざまな種類がありますが、そのなかでも筋肉量を増加させる「アナボリックステロイド」という薬物を使う選手が多くいます。どんな禁止薬物なのかをカンタンに説明すると「筋肉増強剤」と思っていてよいでしょう。
この「アナボリックステロイド」を使用すると、通常時よりも多くのタンパク質が分泌され、筋肉がつきやすくなるのです。
しかし「アナボリックステロイド」には副作用があり、比較的弱めな症状であれば、高血圧や脱毛症といった副作用がみられます。また男性であれば、睾丸縮小や精子減少など、男性としての身体の機能を失いかねません。
さらに女性の場合は、体毛が濃くなったり、生理不順に陥ることが多くなります。
スポーツの世界で「勝つこと」はとても大切ですが、これらの副作用は今後の生活にも影響してきてしまうのです。
競輪界の体制に問題あり
競輪界ではドーピングが禁止されているとはいっても、すべてのレースでドーピング検査が義務付けられていないのです。
KEIRINグランプリなどの大きなグレードレースでは、出走する選手に対してドーピング検査がおこなわれていますが、毎日開催されている競輪のレースすべてで検査をすることができていないのが現状です。
そのため公にはなっていませんが、引退した選手が競輪界にドーピングが蔓延していたという話を暴露したこともあります。
たとえば、大阪98来の泉利和 元選手は、競輪界にドーピングが蔓延していることを不安に思い「ドーピングしなければ勝負に勝てない」と言い引退しています。
ドーピング問題がニュースなどに取り上げられているわけではないため、真相は定かではありませんが、引退する際に上記のような言葉を言い残したことからも、何かしら競輪界には闇があることも考えられるでしょう。
またドーピング検査に関しては、抜き打ち検査もしているそうですが、このようなことがあると、例えドーピングの反応が出たとしても見逃しているのではないかと懸念してしまいますね。
自転車競技界から追放された海外選手
競輪選手ではありませんが、海外のロードレース「ツール・ド・フランス」を7回優勝した経験のある「ランス・アームストロング」はドーピングが発覚したことによって自転車競技界から永久追放処分を受けています。
「ランス・アームストロング」は自ら血液ドーピングを行なっていたことを明かしました。血液ドーピングは薬物によるドーピングとは違って、自分の血液を使って赤血球の量を増やすドーピングなので副作用はありません。
そして血液ドーピングを使うことによって、持久力が急激に向上するのです。ある機関の調査結果では、8kmの走行テストに対して40秒近くタイムが縮まることが判明しています。
40秒もタイムが縮まることは、選手にとっては非常に魅力があり誘惑されてしまいますが、スポーツ選手の本来あるべき姿は、自ら日々のトレーニングに励み、勝負に勝つことでしょう。
「ランス・アームストロング」も過去に7回も「ツール・ド・フランス」を優勝した経験がありますが、この経歴を残せたのはドーピングをしたからかもしれません。
伊藤成紀がドーピング検査で陽性反応
日本の競輪界のドーピング検査でも陽性反応が出てしまった選手がいます。それは大阪90期の伊藤成紀選手です。
伊藤成紀選手は2018年5月に開催される「全日本プロ選手権自転車競技大会」への出場を控えるなか、出場前のドーピング検査で「メタンジエノン」という禁止薬物が体内から検出され、4年間の資格停止処分を受けてしまいました。
「メタンジエノン」は筋肉増強剤としても有名な薬物に含まれている物質で、急激な筋肉量の増加に効果をもたらします。
その反面、身体に悪影響をおよぼす副作用も数多くあり、肝臓がんのリスクが非常に高まったしまうのです。
そんな「メタンジエノン」は、日本で購入することは難しいのですが、海外ではサプリの成分として含まれていることがあります。そのため、海外で「メタンジエノン」が含まれているサプリを探せカンタンに手に入ってしまうということです。
しかし陽性反応が出た伊藤成紀選手は、「メタンジエノン」を含むものを摂取していないと語っていましたが、「メタンジエノン」は科学的に作られた人工のステロイドのため知らずしらずに摂取していたことは考えにくいでしょう。
伊藤成紀選手のプロフィール
ドーピングの陽性反応を真っ向から否定した伊藤成紀選手ですが、2020年現在はレースに復帰し、活躍しています。
以下に伊藤成紀選手のプロフィールを紹介します。
- 名前:伊藤 成紀(いとう せいき)
- 生年月日:1982年7月5日
- 年齢:38歳(2020年8月26日現在)
- 出身地:大阪府
- 血液型:AB型
- 身長:173.4cm
- 体重:80kg
伊藤成紀選手はドーピング検査によって資格停止処分を受けてしばらくの間出場できないでいましたが、2019年12月には一度落ちてしまったA級1班からS級2班への特別昇級し実力を発揮しています。
また競走得点も「99.16」とかなり高く、3連対率も「45.8%」とほぼ2回に1回は車券に絡んでくるような選手です。
さすがにドーピング検査による資格停止処分のあとなので、もうドーピングの可能性はないと思いますが、そもそもこれだけの成績を残せる選手だったので以前もドーピングをしていない可能性もあるでしょう。
まとめ
以上、当記事では競輪界におけるドーピング問題について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
選手らは「勝ちたい」「実力以上の結果を残したい」という理由から禁止薬物に手を出してしまうことがあるようですが、公営競技でもありスポーツでもある競輪でドーピングを行うのはもってのほかです。
「勝つこと」だけに注目すれば、ドーピングは効果的かもしれませんが薬物の効果で強化された肉体で勝ったとしても意味がありません。またドーピングが検査で発覚してしまうと、今までの競輪選手としての結果を剥奪されるだけはなく、今後競輪選手として活躍するのも難しくなってしまうでしょう。
ですが、引退した選手が語ったように競輪界にはドーピング問題の闇があるかもしれません。国が運営する競技なのであってはならないことですが、急に選手の調子が上がりトップ選手に上り詰めたような選手がいたらドーピングの可能性も否定できませんね。