今年も宇都宮競輪の記念競輪、「ワンダーランドカップ2023(宇都宮競輪G3)」が開幕します。
宇都宮バンクは、栃木支部のホームバンク。特別競輪16勝、御年55歳のレジェンドである神山雄一郎選手が所属しており、しかも彼は今回のワンダーランドカップにも出場を予定しています。
まさしく世代を超えた名選手が集う戦いとして、2023年のワンダーランドカップは必見のシリーズと言えるでしょう。そんな開催をより楽しみ、予想の精度を上げるための情報について、当記事ではわかりやすくお伝えしていきます。
- ワンダーランドカップはまさしくワンダー!東西の名選手が勝ってきた近年を振り返る
- 遠征勢か地元勢か?今回の優勝候補と言える3人の選手の近況を分析
- 宇都宮競輪場はかなり個性が強いバンク持ち!その特徴を教えます
目次
ワンダーランドカップ2023(宇都宮競輪G3)の詳細情報
開催年 | 優勝選手 | 所属支部 |
2017年 | 北津留 翼 | 福岡 |
2018年 | 中川 誠一郎 | 熊本 |
2019年 | 村上 義弘 | 京都 |
2020年 | 浅井 康太 | 三重 |
2022年 | 吉田 拓矢 | 茨城 |
過去5回のワンダーランドカップの優勝選手一覧です。これを見ただけで、決して一定した傾向がないことがおわかりいただけるでしょう。西は熊本から、東は茨城まで。強いて言えば、九州地区の選手が2人いますが、2016年から2018年まで九州地区が3連続で優勝した以外は、2003年の4日間開催導入以降、1度も優勝していません。
したがって、その時々で実力を充実させている選手、ひいては質の高いラインを構築できる地区の選手が有利という、競輪らしい判断が可能です。
銀輪ギャンブラー真里谷のシリーズ展開予想
総合力の高い選手、ひいてはシリーズをリードできる地区が有利であると、先の項目で分析しました。今回のワンダーランドカップ全体を展望するにあたって、この指針は有力選手のピックアップにも役立つでしょう。
- 好調なままに舞台は北へ!新山響平が同期の優勝に続く番だ
- 宇都宮の舞台はうってつけ!佐藤慎太郎が自慢の差し脚を見せるとき
- 地元3割増しの格言を背負う!坂井洋が挑む超一流への道
すなわち、強力なメンツがそろった北日本地区のS級S班を2人、さらに地元栃木支部を1人。このような3名を決勝まで勝ち上がる有力候補として選び出し、以下で最近の戦績を紐解いていきます。
シリーズ展開予想①/好調なままに舞台は北へ!新山響平が同期の優勝に続く番だ
青森の新山響平選手は、前節の「日本選手権競輪2023(平塚競輪G1)」でも良い戦いぶりを見せてくれました。特選予選2着、ゴールデンレーサー賞2着、準決勝2着と勝ち上がり、決勝では6着。最後だけ踏み出しが遅れたのが悔やまれるところでしょうか。
それでも、ここ4節はすべて決勝進出を果たしているのは、S級S班としての威厳に満ちた結果と言えます。ウィナーズカップ、ベイサイドナイトドリーム、大楠賞争奪戦。いずれも優勝には至らなかったものの、それぞれ決勝で5着4着2着。確実な賞金の積み上げは、間違いない実力の証です。
昨年、2022年。このワンダーランドカップを制したのは、同期の吉田拓矢選手でした。最大のライバルからS級S班の座を奪取する形になった新山響平選手。今年、吉田選手本人はいませんが、それでもこの優勝タイトルを勝ち取ることは特別な意味を持つでしょう。
北日本地区からは、次に紹介する佐藤慎太郎選手のほかに、高橋晋也選手や佐々木雄一選手など、ともにG1で戦ってきた面々が顔をそろえています。地元たる関東地区と同等の存在感をもって、今年のワンダーランドカップを支配してくれるでしょう。
シリーズ展開予想②/宇都宮の舞台はうってつけ!佐藤慎太郎が自慢の差し脚を見せるとき
福島の佐藤慎太郎選手は、前節が非常に惜しい競輪でした。「日本選手権競輪2023(平塚競輪G1)」の決勝へ、準決勝1着という仕上がりの良さで臨んだ佐藤選手。結果は、僅差の3着。27歳の山口拳矢選手のG1初制覇を、同じく接戦となった48歳の香川雄介選手とともに、間近で見届けることになりました。
2023年の競輪ダービー決勝は、27歳、28歳、46歳、48歳がほぼ横一線になって栄光のゴールを目指した点で、歴史に残るものと言えるでしょう。その「46歳」担当だった佐藤慎太郎選手は、なおも活力にみなぎっています。
近走の5節で決勝進出を果たしたのは3節、日本選手権競輪に加え、「大楠賞争奪戦2023(武雄競輪G3)」と「瀬戸の王子杯争奪戦2023(玉野競輪G3)」です。そのいずれにおいても、決勝3着という惜しい結果が積み重なりました。
無論、それだけ賞金を積み上げており、年末のグランプリ出場へ向けて有利な立場を固めています。ただ、3着よりは1着のほうがいい。これもまたシンプルな道理でしょう。のちの項目で説明するように、差しが利きやすい宇都宮バンク。佐藤選手の強みが活きる戦いが期待されます。
シリーズ展開予想③/地元3割増しの格言を背負う!坂井洋が挑む超一流への道
栃木支部勢として、地元タイトルの栄冠獲得に燃えているのが、坂井洋選手です。1994年10月25日生まれの28歳ということで、新山響平選手よりもさらに1歳若いですが、やがて新山選手のように特別競輪を優勝することが望まれている存在です。
前節の「日本選手権競輪2023(平塚競輪G1)」では、二次予選で敗退。特選予選組でのスタートだっただけに、これは悔しかったことでしょう。2節前の「日刊スポーツ&ニッカン・コム杯(西武園競輪F1)」の2日目に落車棄権した影響が、想像以上に大きかったのかもしれません。
それでも、3走目の特選競走では1着を勝ち取っているので、今回のワンダーランドカップにはある程度の調子で臨んでくれることが期待されます。
3節前の「チャリロト15周年記念杯(富山競輪F1)」では、堂々たる完全Vを成し遂げた坂井選手です。地元記念ともなれば、「よく頑張った」では決して満足できないでしょう。関東勢の1番手として、このグレードレースを迎えます。
宇都宮競輪場のバンクの特徴
全国に43ある競輪場。似ている形状のバンクこそあれ、1つとして同じバンクはないことが、競輪の魅力です。それはまたレースにおける重要な要素でもあるため、車券予想においてはぜひとも知っておくべき内容にもなっています。
- 宇都宮バンクは周長500mの”ロング雷神バンク”!それでも改修で仕掛けどころ多し
- 宇都宮バンクでは「差し」が怖いが「逃げ」も残る!?極端な決まり手を見逃すな
とりわけ、「雷神バンク」の愛称を持つ宇都宮は、かなり特徴が強めのバンクです。選手が勝負どころを知っているか否か、戦法面での相性はどうか。そういった観点を持つことで、車券予想はより正確度を増し、的中率と回収率を押し上げてくれるでしょう。
特徴①/宇都宮バンクは周長500mの”ロング雷神バンク”!それでも改修で仕掛けどころ多し
宇都宮競輪場は、「周長500m、見なし直線63.3m」のロングバンクを有しています。最近は数が少なくなった周長500m走路ということもあり、ここで走るからにはある程度の慣れが必要でしょう。
実際、周長400mや333mに慣れている選手であっても、仕掛けどころが異なるこの走路に戸惑うシーンが多く見られます。
しかも、宇都宮のバンク形状は直線が長めの扁平さを維持していることもあり、レース展開によっては後ろからの選手がスイスイと前の選手を抜き去る光景が見られます。時として直線でまるっと展開が入れ替わることもあり、宇都宮ならではの結末が見られることもあるでしょう。
ただ、2009年に大規模な改修工事を実施。その際に見なし直線が67.9mから63.3mに短くなったほか、大型映像装置が2コーナーに設置されたことで、先行選手が仕掛けどころを見極めやすくなりました。
したがって、「差し切りを狙う選手だけでなく、逃げ選手にとっても有利な環境ができている」のが、現在の宇都宮の特徴です。詳しい決まり手別の有利不利については、次の項目をご覧ください。
特徴②/宇都宮バンクでは「差し」が怖いが「逃げ」も残る!?極端な決まり手を見逃すな
宇都宮バンクは、その形状ゆえに番手選手にとって有利です。見なし直線も長めで、また周長も大きいことは、差し脚をしっかり使える選手にとっての恩恵が複数あることを意味するからです。
ただし、実際の数字が示すのは、「宇都宮では『差し』が当然強いが、『逃げ』も強い」という二極化の事実です。
宇都宮の1着決まり手は「逃げ:27%」「まくり:23%」「差し:50%」という並び。周長400mでよく見る数字が20:30:50の割合であることを考えると、「宇都宮ではむしろ逃げ選手の1着逃げ切りに妙味あり」という事実が浮かび上がってきます。
これは1つ目の特徴説明で示したとおり、2009年の大改修によって、逃げ戦法の際に有利な要素が増えた点に由来しているでしょう。
また、単純すぎる要素なので忘れがちですが、周長500mといっても走る長さ自体は他の競輪場と変わりません。走る長さが変わるのは、そのレースレベルに依拠しています。まして周長400mバンクでも見なし直線が60m前後あるパターンがあることを考えると、周長333mほどには極端に有利不利が出ない、とも考えられるでしょう。
とはいえ、まくり選手とそのラインにとっては「しんどい」状況にあるのも間違いありません。2着決まり手も「逃げ:17%」「まくり:11%」「差し:30%」「マーク:42%」となっていて、こちらは明らかにマーク型の選手の伸び率が良い一方、まくり選手が四苦八苦している状況がわかります。
あえて宇都宮の”怖いところ”に着目するなら、「人気ラインでもまくり型は疑ってかかるべし」とすべきでしょう。ここに念頭を置けば、違った発想も生まれやすくなろうものです。
ワンダーランドカップ2023(宇都宮競輪G3)のまとめ
心のなかに生ずる感動や情動の一種を「センス・オブ・ワンダー」と表現することがありますが、今回のワンダーランドカップもまたそうした”SoW”を提供してくれる戦いになるでしょう。
有力選手として示した選手のうち2名は自力型。先のバンク特徴で示したとおり、宇都宮は決して前を行く選手にとって甘くありません。まくりに構えた場合は、特に宇都宮の恐ろしさが牙を剥きます。
もしかしたら、まったく思ってもみないシリーズ展開が待っているかもしれない。そんなワンダーの結末を、ぜひとも皆様の目でお確かめください。
宇都宮競輪場のアクセス
住所 | 栃木県宇都宮市東戸祭1-2-7 |
電話番号 | 028-625-0100 |
通称「雷神バンク」の宇都宮競輪場。宇都宮タワーや交通公園のある八幡山公園内に立地しており、アクセス良好ながらも緑に囲まれたロケーションで、市民に親しまれている施設です。
電車・路線バス・無料送迎バスでのアクセス
宇都宮競輪場へは、JR宇都宮線の「宇都宮駅」からの有料路線バス、および無料送迎バスがアクセスのメイン手段となります。
一方、今回は宇都宮競輪場の記念競輪ということもあり、無料送迎バス(ファンバス)がいつもより多めに運行されることがアナウンスされています。
無料送迎バスは、JR宇都宮駅西口の12番乗り場から発着。路線バスは同じくJR宇都宮駅西口の2番乗り場から発着しています。また、前者は競輪場直通ですが、後者は「戸祭台循環・西塙田経由戸祭宝木団地」が行き先になるので、ご注意ください。最寄りバス停は「競輪場前」バス停です。
自動車でのアクセス
宇都宮競輪場には、約1,800台が駐車可能な無料駐車場が完備されています。本場へ最寄りのインターチェンジは、東北自動車道の「鹿沼IC」または「宇都宮IC」です。いずれも降りてから約20分ほどの走行距離になるでしょう。