競輪には「先導員」という役割があるのはご存じでしょうか?競輪のレースでは「先頭固定競走」と呼ばれるレース方法を用いて行なわれています。
「先頭固定競走」とは、先導員がレースの先頭を走り誘導するという制度です。
また、この先導員のルールが2019年4月1日に改正となり、競輪のルールが大きく変わってきました。
この記事では、2019年4月1日に変更になった先導員のルールや先導員の役割について紹介していきます。
目次
先導員って?
競輪では、先導員がレースの先頭を走りながら審判の指示に従って選手を誘導する「先頭固定競走」という方法が取り入れられています。
また、先導員は選手と同じ形の自転車に乗り、選手の前を走行して、風の抵抗を軽減させる役目も担っているのです。
しかし、多くの方は先導員のきちんとした役割を知っている方が少ないかもしれません。
そこで、こちらでは先導員の役割などについて詳しく紹介していきましょう。
先導員の役割は?
そもそも競輪のレースでは、なぜ先導員がレースの先頭を走っているのでしょうか?
その一番の理由として「風の抵抗」を軽減させる理由があるのです。
競輪は時速70km近いスピードで走る競技なので、先頭を走っている選手は風の抵抗をもろに受けてしまい、走行位置によっては有利・不利が現れてしまいます。そこで、その有利・不利をなくすためにこの制度が導入されてました。
また、先導員は風の抵抗を防ぐだけではなく、「走路の長さ」「クラス」「レースの距離」によって、定められた基準タイムで走ることも、先頭員の重要な役目です。
そして、競輪選手は決まった位置になるまで先導員を追い抜いてはいけないルールがあり、万が一追い抜いてしまうとルール違反として「失格」となっていまいます。
失格になる位置はバンクによって異なり、333mバンクの場合は残り3周、400mバンク・500mバンクの場合は残り2周半までです。
先導員のユニフォームや装備
先導員は選手と同じユニフォームを着ていると区別がつかなくなってしまうため、競輪選手のユニフォームとは異なり、ネイビーでストライプのユニフォームを着用しています。
また先導員は、走行タイムなどの伝えるためにヘルメットの内部にはヘッドフォンが内蔵されています。
先導員は手当が貰える!
実は、競輪では選手以外にも先導員として活躍すると手当がもらえます。競輪選手として生計を立てていくためには、レースで良い成績を残し続けなければいけませんが、なかなか新人競輪選手はそうはいきません。
そのため、レースで成績を残せない新人競輪選手のなかには、実力が備わるまでの間に「先導員」として活躍している競輪選手もいます。
また支給される金額はレースのクラスによっても大きく異なり、予選では3,000円程度ですが、大きなレースの決勝になると10万円を超える手当がもらえることもあるのです。
そのため、選手として稼ぐ事が厳しい時に先導員をアルバイトとして収入を得たりもしています。特に新人競輪選手にとっては先導員の仕事は生活の要となる大切な収入源の一つとなっています。
先導員は資格の取得が必要
競輪選手であれば誰でも先導員として活躍できるわけではありません。先導員として活躍するためには、「誘導員試験」へ受験し、「誘導員資格」の取得が必要です。
「誘導員資格」の合格基準は2,000mのタイムトライアルにおいて2分55秒内でのゴールが求められますが、基本的に競輪選手として登録されている選手には簡単なタイムです。
また先導員は、全国各地にあるそれぞれの競輪場に常駐しており、大抵はホームバンクの競輪場のレースに出走しており、出走する予定のない選手が「先導員」を担うこともあります。
基本的にS級選手のような実力がある選手が誘導選手として活躍することは少ないですが、なかにはレースを盛り上げるために有名な選手が先導員を担うことがあるのです。その際はスムーズに選手らを誘導し、レース全体を盛り上げること間違いないでしょう。
先導員に関するルール改正
「先頭固定競走」を用いて行なう競輪のレースですが、2019年に先導員に関するルールが一部改正されました。
今回改正された内容は以下の3つです。
- 先導員を追い抜ける距離が変更になった
- 先頭員に対して行う危険行為の基準が厳しくなった
- 先導員を追い抜くルールが変更
ほかにも細かい変更点はありますが、基本的にこの3つを覚えておくようにしましょう。
それでは、改正されたルールについて以下で紹介していきます。
先導員を追い抜ける距離が変更になった
まずルール改正によって失格となる距離が長くなりました。
これによって、早い段階で先導員を抜くことができなくなっため、先行選手の動きも大きく変わることになるでしょう。
先頭員に対して行う危険行為の基準が厳しくなった
先導員に対する危険な行為や妨害行為として失格となる基準も厳しく変更となりました。
以前のルールでは先導員追い抜きゾーンでの違反行為は「重大走行注意扱い」とされていましたが、今回から「失格扱い」となり、先導員の安全が守られるようになりました。
先導員を追い抜くルールが変更
先導員が退避できる基準も新ルールによって変わりました。
以前のルールでは選手に追い抜かれたときに、また選手の先頭で走ることが困難なときに認められていましたが、新しいルールでは「選手に追い越されたとき」と幅広い基準に変わったのです。
レースでの影響
上記では変更となったルールについてご紹介しました。それでは、このルール改正によってレースにはどのような影響が出てくるのが考えられるでしょうか?
簡単に影響を考えると、以下の3つが考えられます。
- ルール改正によってできないことが増える
- スポーツとしての楽しみが増える
- ギャンブル性の低下
それでは、上記3つの影響をくわしく見ていきましょう。
新ルールで出来なくなったこと
2019年5月に改正されてしまったルールによって、「誘導員を早めに追い抜く」という行為ができなくなってしまいました。
以前は「注意対象」だったため、レース中に早めの追い抜きも違反点数の加算を覚悟するだけでも可能でしたが、これからは早めの追い抜きは失格対象となってしまうためできなくなりました。
また、暴走行為に関する失格基準も非常に厳しくなり「打鐘開始前よりスパート」となってしまったため、先行を走るのを得意とする選手が今までのようなレース展開を行えなくなってしまいました。
スポーツとしての競技性の向上
競輪は公営競技ですが、鍛え抜かれた脚で戦うスポーツとしての一面もあります。今回のルール改正ではそのスポーツとしての一面を高めました。
ルールの厳格化によって暴走行為などが厳しくなったことで、選手全員がルールすれすれの行動をするのではなく、「実力のみの戦い」を求めるようになりました。
また先導員の追い抜きルールも変わったことで、「注意対象となっても先行したい」という選手がいなくなり、さらにスポーツとしての競技性が向上したと考えられます。
実力通りの結果になりギャンブル性が下がる
改正されたルールによってレースの勝敗がわかりやすく、実力どおりの結果になってしまうようになることが考えられます。つまり、レースは本命決着になることが増え、ギャンブル性が下がってしまいます。
そのため、ルール改正後は万車券が出にくくなったりするため、穴党の競輪ファンにとっては楽しみが減ってしまうかもしれません。
まとめ
この記事では先導員の役目や、新しくルールが改正される先導員のルールを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
先導員は先頭を走る選手の風よけの役目になったりと、競輪には欠かせない存在です。しかし、2019年5月31日からは先導員のルールが大きく改正となりました。
ルール改正に関しては多くの意見がありますが、競輪のレースで実際にどのような影響がでてくるのか分かりません。
またルール改正によって競輪予想の方法も大きく変わってくることが考えられるので、新ルールもしっかりと覚えてから競輪予想に挑みましょう。