日本選手権競輪2022(いわき平競輪G1)が、2022年5月3日(祝・火)から5月8日(日)までの日程で開催されます。今年の決戦の地は、福島県いわき市のいわき平競輪場。全43場でも特異な「空中バンク」で、熱戦が繰り広げられることになります。
来期のS級S班、ひいては年末のKEIRINグランプリへの切符のかかった最高峰の舞台、G1競走。とりわけ「競輪ダービー」の愛称で親しまれる日本選手権競輪は、その重さたるや格別なものがあります。
競輪最長の6日間の死闘は、間違いなく車券の難易度も最大級。戦略的に予想をしていかないと、たちまち食われてしまうでしょう。
当記事では、日本選手権競輪を勝ち残るための知識と予想のコツを共有し、ゴールデンウィークに最高のダービーを楽しむお手伝いをしていきます。
- 日本選手権競輪「競輪ダービー」の直近の傾向を総ざらい!
- 今年の日本選手権競輪は誰が主役?至高の昇り龍を教えます
- いわき平バンクを攻略してダービー車券を的中させていこう
- ガールズケイリンコレクションで女子レーサーの頂上決戦も!
目次
日本選手権競輪2022(いわき平競輪G1)の詳細情報
開催年 | 優勝選手 |
2017年(京王閣) | 三谷 竜生 |
2018年(平塚) | 三谷 竜生 |
2019年(松戸) | 脇本 雄太 |
2020年(静岡) | [開催中止] |
2021年(京王閣) | 松浦 悠士 |
過去5回の日本選手権競輪の優勝選手は、上記のようになります。2020年は新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大で中止に追い込まれましたが、2016年の静岡開催では熊本の中川誠一郎選手が優勝していました。
いわき平競輪場における日本選手権競輪の開催は、これが2度目。1度目はまだ「平競輪場」という名称だった1978年、2022年現在から見て44年前に催され、神奈川の藤巻清志選手が優勝しています。
この藤巻選手。まだ「世界のナカノ」こと中野浩一選手の知名度ばかりが海外では先行するなか、世界自転車選手権に初めてケイリン種目が採用された1980年のブザンソン大会に日本代表として出場し、兄の藤巻昇選手ともどもすばらしいまくりを放ったことで、現地メディアから称賛されました。
自転車種目は、ヨーロッパにとっては特に人気の高いスポーツであり、まさか小柄な日本人がそこまでやれるとは誰も思っていなかったのです。
同大会後も兄の昇選手が所属する北海道支部に移籍し、2004年まで現役を続けた藤巻清志選手。彼のようなレジェンド級のレーサーが、2022年の栄冠を掴み取ることになるでしょう。「いわき平競輪場」としては初めての日本選手権。その行く末に注目です。
銀輪ギャンブラー真里谷のシリーズ展開予想
文句なしに「現役最強メンバー」がそろう日本選手権競輪。今年も若手からベテランまで、超濃厚なメンバーが出場選手として名を連ねました。ゴールデンウィークが始まるとき、誰一人ケガなどで欠けることなくいわき平競輪場に集まってほしいものです。
- そうは言っても脇本雄太が強いでしょう!
- グランプリ勝者の輝きなお強く!古性優作が対抗格
- 松浦悠士の安定感は間違いなし!ただしどこまで立ち向かえる?
誰もが優勝の可能性を秘めた綺羅星ではありますが、それでもあえて3人の優勝候補として、上記のメンバーを選びました。いずれ劣らぬS級S班3名は、全員が決勝まで勝ち上がってくれる期待に満ちています。
それは同時に、この長丁場で車券に貢献してくれるということでもあります。その理由について、各項目で選手ごとに解説していきましょう。
シリーズ展開予想①/そうは言っても脇本雄太が強いでしょう!
その強さについて、いったい誰が疑うでしょう?
福井の脇本雄太選手は、東京五輪が終わってなお、いえ、終わったからこそ競輪における主役中の主役です。オリンピック前はどうしても競輪への参戦数が減っていましたし、これからもナショナルチームとしての活動は続くでしょうが、それでも競輪場で見る機会は増えるでしょう。
この日本選手権競輪もまた、その「増えた機会」のひとつです。爆発的なスピードは健在であり、あらゆるレースの決勝で「どうやって脇本を倒すのか?」が至上命題になるのは避けられません。
もちろん、それは「脇本包囲網」が敷かれることも意味しています。優勝までの道のりは簡単ではありませんが、はねのけてダービー王の称号を勝ち取る力が、脇本選手には備わっています。私たちは、再びその光景を目の当たりにするかもしれません、
シリーズ展開予想②/グランプリ勝者の輝きなお強く!古性優作が対抗格
KEIRINグランプリ2021(静岡競輪GP)は、まさしく古性優作選手のための舞台でした。絶妙の仕掛けで突き抜ける様は、ファンが待ち望んだ姿であったでしょう。
大阪支部所属の古性選手であり、福井の脇本雄太選手とは同じ近畿地区になります。この2人のラインが強烈なことは、わざわざ説明するまでもないでしょう。古性選手自身は「脇本選手についていくのがやっと」と控えめなコメントをすること多々ですが、そもそも脇本選手を追走できるのは、現役でも数名しかいません。
2022年最初のG1である「読売新聞社杯全日本選抜競輪2022(取手競輪G1)」は、古性選手の力強さが出た競走でした。準決勝と決勝を連続1着。早くも今年末のKEIRINグランプリへの出場権、ならびに来期のS級S班の権利を獲得しています。
充実期とはまさにこのこと。あらゆる競走で単騎であろうと決勝まで勝ち進む力強さでもって、日本選手権競輪もトップで決勝線を駆け抜けることを目指します。
シリーズ展開予想③/松浦悠士の安定感は間違いなし!ただしどこまで立ち向かえる?
「桜花賞・海老澤清杯2022(川崎競輪G3)」、「大楠賞争奪戦2022(武雄競輪G3)」。広島の松浦悠士選手は、日本選手権競輪までにこれらの競走への出走を控えていますが、いずれも優勝候補として挙げられる存在です。事実、当サイトのレース特集記事においても、彼の名前をシリーズの中心として掲げました。
S級S班となり、赤パンを手に入れて3期目。誰も松浦選手の実力を疑うことなどないでしょう。それでも、今期は強力な近畿コンビ、そして地元の北日本勢を打破しなければなりません。S級S班への返り咲きを狙う新田祐大選手や、「湘南ダービー2022(平塚競輪G3)」を見事に勝ちきった佐藤慎太郎選手など、次々に強敵が立ち塞がります。
それでも、松浦悠士はこのシリーズで一等輝ける素質の持ち主であり、昨年の京王閣に続く2年連続ダービー優勝の権利を持つ唯一の選手でもあります。同じ中国地区の盟友である清水裕友選手とともに、総力戦の先頭に立ってくれるでしょう。
いわき平競輪場のバンクの特徴
競輪全43場のなかでも、強い特徴を持ついわき平バンク。何よりここまでにも触れてきた「空中バンク」という特性は、観光目的で訪れてもわくわくする場所です。
空中とはいっても、謎の技術で競輪場が空に浮かんでいるわけではありません。いわゆる「空中庭園」と同じ定義で、「ほかの構造物のうえに競輪場が乗っている」という特異な形態ゆえに、「空中バンク」と呼ばれています。
とはいえ、やはり珍しい形であることに変わりありません。一度は訪れてみると、話の種になること間違いなしです。
- 「空中バンク」いわき平競輪場は差し選手に有利!
- 風のいたずらにご用心?先行選手を襲う突風!
- まくりラインの番手からも抜け出し!?長い長い直線
上記の3つのポイントは、いわき平競輪場を知るうえでも特に欠かせない特徴となるでしょう。以下、詳しく解説していきます。
また、当サイトでは、いわき平競輪場全体を特集した記事を公開しています。全体的な予想のコツなども載せていますので、「全日本選抜競輪2022(いわき平競輪G1)」を攻略するにあたっても、きっと役に立つことでしょう。ぜひともあわせてご覧ください。
特徴①/「空中バンク」いわき平競輪場は差し選手に有利!
いわき平競輪場において、逃げ、まくり、差し、どの戦法の選手が勝ちやすいか。これはデータからも明確であり、1着の決まり手は「差し」が50%を占めています。
さらに、逃げとまくりはシーズンを通してほぼ同率であることが多く、「先頭の選手がバテやすく、番手以降の選手が差し込みやすい」環境が構築されていることがわかるでしょう。
一方、オーソドックスな周長400mのバンクという基本があるため、逃げ粘りやまくり一閃が成功する余地も十分にあります。2着の「マーク」率が40%もあるのは、強い先行選手がしっかりと1番でゴールできる事実を示しています。
特徴②/風のいたずらにご用心?先行選手を襲う突風!
いわき平競輪場で注意したい要素として、「風」が挙げられます。ボートレース(競艇)ほどではないにしても、バンクによっては雨風が大きく結果を左右することになる競輪。いわき平はその天候というファクターが比較的重くのしかかります。
というのも、いわき平のバンクは、外周部がすべて透明なポリカーボネートの板で覆われています。基本的には外周や内周の観客席は網などで囲われていることが多い競輪場ですが、いわき平は以前からこのスタイルでした。
ただ、そのために、網とは違うデメリットもあります。すなわち、風がポリ板にぶつかり、そこから逃げ出さずにバンクの中で渦を巻き、先行選手に襲いかかるのです。
この特徴から、先頭選手が失速するのはおろか、「ラインまるごと伸びない」パターンまで生まれるため、いわき平で勝負する際には風の強さに気をつけることが推奨されます。
特徴③/まくりラインの番手からも抜け出し!?長い長い直線
先日、武雄競輪場が周長400mでは最も長い直線を持っていることをお伝えしました。この長さが64.4mだったわけですが、同じ周長400mのいわき平競輪場も決して負けない長さを持っています。ずばり、62.7mです。
武雄バンクには及ばないにしても、2つ目の特徴とあわせた風などの気象条件が重なることによって、自力型の選手にとっては「えげつない」コンディションになることがあります。
最近は「走路が軽くなった」と評判のいわき平バンクながら、それでも逃げラインのみならずまくりラインの番手選手が先頭選手を捉えることもあるなど、ゴールまでが非常にしんどく感じるバンクであることは間違いありません。
とりわけ、差しの決まり手が多い、すなわち1着2着をもぎとるのに長けている末脚型の選手がいた場合、人気薄でも注意して見ていったほうがいいでしょう。
ガールズケイリンコレクションも必見!
2022年5月5日(祝・木)、すなわち「子どもの日」には、女子選手のトップ層が集まる「ガールズケイリンコレクション」が開催されます。
当初は上記の画像で示したとおりの7人がメンバーとして発表されていましたが、多くのファンはすでにご存じのとおり、昨年ガールズグランプリを制した高木真備選手が、その祝賀会で突如として電撃引退を発表しました。
ガールズグランプリを勝って引退。惜しまれますが、実に華やかな去り方ではあります。動物保護の活動をしていくと報道されていますが、いずれにしても、第2の人生がよりすばらしいものとなることが望まれるでしょう。
ともあれ、高木真備選手の引退に伴い、上記メンバーに出来た欠員の補充として、福井の柳原真緒選手が選出されました。したがって、今回のガールズケイリンコレクションのメンバーは以下のとおりとなります。
卒業期 | 所属地区 | 所属支部 | 選手氏名 |
108期 | 九州 | 福岡 | 児玉 碧衣 |
104期 | 関東 | 東京 | 石井 寛子 |
114期 | 近畿 | 福井 | 柳原 真緒 |
118期 | 九州 | 福岡 | 尾方 真生 |
112期 | 南関東 | 静岡 | 鈴木 美教 |
102期 | 関東 | 東京 | 小林 莉子 |
102期 | 関東 | 栃木 | 荒牧 聖未 |
これら7人は、誰もがガールズケイリンをけん引できる女王候補です。5月5日は、いわき平がいよいよ美しく、華やかに、そして熱くなる戦いが繰り広げられるでしょう。
実績の面からいえば、最も勝利に近いのは福岡の児玉碧衣選手です。しかしながら、児玉選手は「ウィナーズカップ2022(宇都宮競輪G2)」で行われたガールズケイリンコレクションにおいて敗戦しています。だからこそ捲土重来を期しているでしょうが、果たして今回はどうなるか。
最年少は、児玉選手と同じ福岡の久留米競輪場をホームバンクとする尾方真生選手です。彼女も「ウィナーズカップ2022(宇都宮競輪G2)」のガールズケイリンコレクションでは5着に敗退したものの、先日の「湘南ダービー2022(平塚競輪G3)」で行われた「ガールズフレッシュクイーン」では人気に応えて勝利。同じキャリアの選手には負けられない気迫を見せました。
よりヨーロッパの自転車競技に近い、ラインの存在しないガールズケイリン。普段の競輪予想とはまた違ったロジックで、ぜひとも上記2選手の情報を参考にして、的中を勝ち取っていきましょう。
日本選手権競輪2022(いわき平競輪G1)のまとめ
競輪のあらゆるレースにおいて、KEIRINグランプリと同格と言われるほどに盛り上がる「競輪ダービー」こと日本選手権競輪。約半世紀ぶりにいわき平競輪場で開催される決戦は、あるいはニューヒーローを生む可能性すら秘めています。
5月3日の憲法記念日から、同じ週の日曜日まで。1日たりとも目が離せません。どこで応援するにしても、健康第一です。選手もファンも、最高のコンディションでこの6日間を戦い抜きましょう。
いわき平競輪場のアクセス
住所 | 福島県いわき市平谷川瀬西作15 |
電話番号 | 0246-23-3751 |
全国でも珍しい「空中バンク」を擁するいわき平競輪場は、福島県いわき市に立地しています。福島県という立地ながら、いわき市は東北地方最南端の福島のなかでもさらに南にあり、かつ降雪の少ない浜通りにあることから、東北とは思えないほど温暖な気候です。
こうした背景もあって、冬は営業を休止する函館競輪場、青森競輪場、弥彦競輪場などと違い、いわき平競輪場は通年で開催を続けているのが特徴的といえるでしょう。
[重要]入場規制について
- 福島県新型コロナウイルス感染拡大防止対策に基づいた、場内における各種施策の実施
- 日本選手権競輪の期間を通じ、一般入場者の場内滞留人数の上限を「4,000人」に制限し、超過した場合は入場規制
参考記事:開催にあたって 重要なお知らせ – いわき平競輪場
日本選手権競輪は、6日間における長丁場。「競輪ダービー」の誉れも高き一大決戦です。したがって、本来であれば多くのゲストでにぎわうべきところですが、今なお新型コロナウイルスの猛威は続き、決して予断を許しません。
このため、いわき平競輪は日本選手権競輪の開催期間中に入場制限を設け、上記のとおり「一般入場者が4,000人に達した時点で入場を規制し、それ以上の入場をお断りする」方針を発表しました。
今なお「非常時」といえる状況です。残念なことではありますが、ぜひとも無事に開催が始まって終わるよう、各施策には協力していきましょう。
電車・路線バスでのアクセス
まず重要なこととして、「無料送迎バスは当面の間の運行休止」が発表されています。これは、2022年4月中旬現在において、日本選手権競輪でも維持される方針です。
いわき平競輪場の最寄り駅は、JR常磐線および磐越東線の「いわき駅」です。ただし、同駅から本場までは徒歩15分ほどあるため、無料送迎バスが運行を休止している現状、路線バスかタクシーでの移動が現実的な選択となるでしょう。
とはいえ、路線バスであれば約5分、料金も片道100円か170円で移動が可能です。新常磐交通の「菱川町」行きや「小名浜車庫」行きを利用しましょう。多くは6番のりばから運行しています。
自動車でのアクセス
いわき平競輪場には無料駐車場が用意されていますが、その収容力は約800台となっているため、ビッグレースの場合は埋まってしまう可能性も考えられます。また、ほかの各場と同じく、大型バスなどの特殊な車両は事前の申請を行ったのち、専用駐車場を利用することになります。
最寄りインターチェンジは、常磐道の「いわき中央IC」です。降りてからは約10分ほどの所要時間で、本場へと到着できます。