今回の「水都大垣杯2023(大垣競輪G3)」は、地元の山口拳矢選手が競輪ダービー制覇してから初めての凱旋出場となります。大垣競輪場の記念競輪として、実に盛り上がる開催になることでしょう。
もちろん、ほかのメンバーも記念競輪にふさわしい実績と実力の持ち主ばかり。なお特異な事例として、今回の開催は前回からわずか3ヶ月という間隔で行われる点も見過ごせません。ただし、出場選手の顔ぶれが異なりますし、何より「主役」ともいえる山口拳矢選手の状況は激変しました。
“水の都”たる大垣で行われる水無月の開幕グレードレース。当記事でこの開催を楽しむための情報、ひいては「車券で勝つ」有益な内容を受け取ってください。
- 今年2回目の水都大垣杯!前回も含めた近年の結果を確認しよう
- 前回開催とは異なるメンバー!誰が優勝候補になりえるかを分析
- 大垣競輪場の特徴をさらに紐解く!車券の回収率向上を勝ち取るデータを提供
目次
水都大垣杯2023(大垣競輪G3)の詳細情報
開催年 | 優勝選手 | 所属支部 |
2017年(11月) | 村上 博幸 | 京都 |
2019年 | 宮本 隼輔 | 山口 |
2021年 | 平原 康多 | 埼玉 |
2022年 | 平原 康多 | 埼玉 |
2023年(3月) | 犬伏 湧也 | 徳島 |
過去5回の水都大垣杯は、上記のとおりに決着。今年3月に行われた開催では、徳島の犬伏湧也選手が優勝しました。決勝の内容は、犬伏選手のすばらしい大器を感じさせる圧巻の走りでした。
当サイトでも特集記事を組みましたが、犬伏湧也選手をピックアップできなかったことが無念でなりません。決勝での犬伏選手は、大いに不利な単騎戦。しかも、打鐘を聞いた時には最後方9番手という絶体絶命の位置でした。
ですが、前のラインが少々もつれているのを察知した犬伏選手。ここでドカンとホームガマシを敢行。これがズバリ炸裂して集団を突き放し、必死で追いかける古性優作選手と山口拳矢選手を引き離し、実況も認める「圧勝」を果たしました。
そして、そんな犬伏選手が「日本選手権競輪2023(平塚競輪G1)」の決勝では盛大に駆けて、清水裕友選手を勝利へ導かんと力走します。
満を持して番手から発進する清水選手。それを最後の最後に抜き去ったのが、これも単騎だった山口拳矢選手だったことを考えると、競輪とはなんとドラマティックなのだろうと心震わせる方も多いのではないでしょうか。
銀輪ギャンブラー真里谷のシリーズ展開予想
今年2回目の水都大垣杯。3月の1回目とはメンバーが違う部分もあり、一方で共通している部分もあり。再度その勢力図を確かめ、「決勝まで勝ち上がり、優勝という大目標に手が届くであろう選手」を紹介する必要があるでしょう。
- 再び頂点へ!松浦悠士が自由自在にレースを支配する
- 東からやってくる超一流!佐藤慎太郎が大垣でも魅せる
- 英雄凱旋!山口拳矢が次に目指すのは地元記念制覇にほかならない
今節、S級S班は佐藤慎太郎選手、郡司浩平選手、松浦悠士選手の3人が出場予定。しかし、郡司浩平選手は競輪ダービーの準決勝で落車。再乗してゴールしたものの、その後、搬送された病院で右肩甲骨骨折が判明。同じく落車&病院搬送の守澤太志選手ともども、全治40日と診断されました。
守澤選手は第7頚椎骨折ということで、こちらも深刻。もちろん、郡司選手にしてもコンディション低下は間違いなく、今回の競走での全力は望めないどころか、開催前の欠場さえも考えられます。
よって、ここはS級S班2名に加え、今回の主役とも言える山口拳矢選手をチョイス。それぞれの戦績から優勝の可能性を紐解いていきます。
シリーズ展開予想①/再び頂点へ!松浦悠士が自由自在にレースを支配する
広島の松浦悠士選手が、「ウィナーズカップ2023(別府競輪G2)」で劇的な優勝を果たしてから5節。残念ながら、次の優勝を勝ち取るにはいたっていません。しかしながら、その競走内容はトップクラスを証明するものが続いています。
「瀬戸の王子杯争奪戦2023(玉野競輪G3)」と「よさこい賞争覇戦2023(高知競輪G3)」では決勝進出からの2着準優勝。前節の「ワンダーランドカップ2023(宇都宮競輪G3)」でも決勝へ進み、こちらは6着でした。
3説前の「大楠賞争奪戦2023(武雄競輪G3)」では準決勝で落車棄権して心配されましたが、直後の「日本選手権競輪2023(平塚競輪G1)」には出場。ただ、二次予選を突破できなかったあたりは、やはりその影響があったかもしれません。
してみると、前節もやや調子落ちは否めなかったのかもしれませんが、それでも決勝に駒を進めあるあたりはさすがです。ましてや準決勝ではSもBも取る積極性で2着。前でも番手でもバッチリ仕事ができる、オールラウンダーなところを見せつけてくれました。
今年はまだ1着数が少ないこともあり、本人もそこには納得していない様子。大垣のこの開催で新たに弾みをつけたいところでしょう。中国地区の主軸にして、西の遠征勢の大本命として、天下分け目の大垣決戦へと乗り込んできます。
シリーズ展開予想②/東からやってくる超一流!佐藤慎太郎が大垣でも魅せる
福島の佐藤慎太郎選手について、あれこれ言う必要はないでしょう。先の項目で紹介した松浦悠士選手が西のエースなら、佐藤選手が今回の東のエースになるであろう存在です。
2節前の「日本選手権競輪2023(平塚競輪G1)」では、栄光まであと少しに迫る決勝3着。その他の競走でも抜群の存在感を見せ、46歳にしてS級S班を務める実力を存分に示してくれました。
ただ、前節の「ワンダーランドカップ2023(宇都宮競輪G3)」では初日特選7着に始まり、4日間で一度も1着を取れず、準決勝5着で決勝にも進めず。マーク屋の宿命として、自力選手の出来に左右される点があるのも否めません。
それでも、逆境さえも跳ね除けられる力を持っているのが、佐藤選手の魅力です。今年、現時点の3連対率は70.0%。これは過去10年で最も高い数字です。衰えどころか成長し続けているすさまじさでもって、夏シーズンも駆け抜けてくれるはず。
ならば、この水都大垣杯は、北日本勢を束ねる存在として、きっと頂点へと手が届く競走を見せるでしょう。前を走る選手はもちろん重要ですが、番手選手の働きがそれを十分に活かすこともある。それが競輪の魅力のひとつです。佐藤選手が、あらためて番手の妙味を教えてくれることが期待されます。
シリーズ展開予想③/英雄凱旋!山口拳矢が次に目指すのは地元記念制覇にほかならない
地元岐阜の山口拳矢選手が、ついにG1を獲った!
表彰式では当地に駆けつけていた山口幸二さんも登場し、「親子G1制覇」を称え合う姿が見られました。「最強の支部長の目にも涙」といったところでしょうか。昔からの競輪ファンも、じぃんと胸を熱くした瞬間でした。
その競輪ダービー、「日本選手権競輪2023(平塚競輪G1)」は4日間とも見事な走り。一次予選1着に始まり、二次予選3着、準決勝2着。そして、決勝は単騎戦を強いられながらも、卓越した状況判断で最終周回4番手を確保。最後の最後に清水裕友選手を捉え、「ダービー王」の称号を勝ち取りました。
特別競輪制覇は「共同通信社杯2021(岐阜競輪G2)」で果たしていましたが、G1競走は今回のダービーが初めてです。「もう山口幸二の息子ではない」と知らしめるかのような、すばらしいレースでした。
ならば、日本選手権競輪以来の初めての地元凱旋となる今節は、とても恥ずかしいレースはできません。3月の水都大垣杯でも良い走りをし、初日特選1着、二次予選1着、準決勝3着、決勝3着とオール3連対を並べました。
それでも、ここまで来たからには地元タイトルでも頂点を狙いたいところ。このインターネット全盛期であっても、「直接見に行きたい」と思わせてくれる豪快な競走を披露し、「競輪の未来を担う存在」として輝けるかどうか。4日間とも大注目です。
大垣競輪場のバンクの特徴/2023年3月水都大垣杯分析スペシャル
「大垣の記念競輪でこそ使えるデータがほしい!」
今回は、そんな需要に応えるコーナーを作成いたしました。もとより当サイトでは、各競輪場について特集した記事を公開しております。大垣競輪場もまた例外ではありません。
上の記事でも、すでに大垣競輪場のバンク特徴について触れました。その内容を知るだけでも、レースの楽しみが増えるのみならず、車券予想における強力な武器となるでしょう。回収率や的中率の向上にも結びつき、競輪体験をより良いものにする可能性に満ちています。
しかしながら、当記事はより高い価値を追い求めました。すなわち、せっかく3月という近々に開催された記念競輪があるのだから、その内容を分析すべきではないかと。その内容を吟味すれば、「今の大垣のトップクラスがぶつかりあうと、どういった選手が1着2着になりやすいか」を紐解くことができるでしょう。
というわけで、2023年3月に開催された前回の水都大垣杯について、1着決まり手と2着決まり手の統計を取りました。以下に見やすいよう図表にして掲出します。
決まり手 | 1着数(割合) | 2着数(割合) |
逃げ | 10(20.8%) | 9(18.7%) |
まくり | 19(39.5%) | 8(16.6%) |
差し | 19(39.5%) | 11(22.9%) |
マーク | – | 20(41.6%) |
ずばり目立つのが、薄く色をつけた箇所。「“まくり”の1着決まり手の多さ」です。サンプル数が数ヶ月単位ではないので、偏った数字が出るのは仕方ないにしても、「まくりでの1着率39.5%」というのは、周長333mバンクでも見ないような高確率の数字です。
なんといっても、グレードレースは自力に優れたトップクラスの選手が集う舞台です。ましてや水都大垣杯は東西から有望な選手が集まりやすい立地とスケジュールのため、こうした偏りが起きるのでしょう。
同時に、今回も近しい傾向になるであろうことが考えられます。出場選手の顔ぶれを見ても、若くて勝率にすぐれた選手が顔をそろえているからです。
参考資料:水都大垣杯 出場予定選手一覧 – netkeirin
先の項目であげた3名の優勝候補のほかにも、宮城の櫻井祐太郎選手、東京の高橋築選手、神奈川の青野将大選手、地元岐阜の橋本優己選手、和歌山の石塚輪太郎選手、徳島の犬伏湧也選手、熊本の松本秀之介選手。こういった有望な名前が並びます。
とりわけ、犬伏湧也選手や松本秀之介選手は日本選手権競輪に出場し、それぞれ1着を勝ち取りました。犬伏選手にいたっては、先の項目でも触れたとおり、決勝で最高のレースをつくるお膳立てをしています。しかも、3月開催の優勝選手です。彼もまた優勝候補の一角でしょう。
同時に、こうした有望な自力型の選手たちが、マークする選手たちの実力を引き出すことも忘れてはいけません。上で示した決まり手データを活用しつつ、今回の6月の水都大垣杯では大きな配当を狙っていく。そんな野心を抱きたいものです。
水都大垣杯2023(大垣競輪G3)のまとめ
今年の日本選手権競輪、競輪ダービーは終わりました。しかし、それを挟むようにして開催される水都大垣杯。それは水が陽の光によって異なる色を見せるように、まるで違ったドラマをファンに届けてくれるかのようです。
地元大垣へ、山口拳矢選手がG1ウィナーとなって帰ってきます。それは同時に、大きな看板を背負っての戦いが始まる合図とも言えます。競輪界の未来を背負って立つ才能が集まる今開催。その一部始終を、たっぷりと目撃していきましょう。
大垣競輪場のアクセス
住所 | 岐阜県大垣市早苗町1-1 |
電話番号 | 0584-78-3185 |
新たにG1ウィナーが増えた岐阜支部のホームバンク、大垣競輪場。中部地区の支部に所属する選手がG1競走を制覇するのは、「朝日新聞社杯競輪祭2018(小倉競輪G1)」の浅井康太選手以来5年ぶり、正確には4年6ヶ月ぶりのことでした。
さらに言えば、山口拳矢選手の父、山口幸二さんも元競輪選手として超がつくほど有名。親子によるG1競走制覇は史上3例目となる、メモリアルなものとなりました。
長い雌伏のときから目覚めた中部地区と岐阜支部。その本拠地である大垣競輪場は、これからますます活気に満ちていくことでしょう。
電車・無料送迎バスでのアクセス
大垣競輪場の最寄り駅は、JR・養老鉄道・樽見鉄道の「大垣駅」です。ただし、大垣駅からは徒歩圏と言いづらい距離のため、同駅から発着している無料送迎バスを利用することをおすすめします。
無料送迎バスは、大垣駅の養老鉄道乗車口前から発着しています。今回の記念競輪開催にあたっては朝の便の増便が予定されているため、より利用しやすくなるでしょう。
自動車でのアクセス
大垣競輪場の最寄りインターチェンジは、名神高速道路の「大垣IC」です。同インターで降りてからは、国道258号線を北上し、旭町交差点を右折。さらに、コンビニがある交差点を左折しましょう。確実な到着のため、事前のルート確認をおすすめします。
なお、大垣競輪場には約900台を収容可能な無料駐車場が用意されています。自動車で訪れた際には、積極的に利用しましょう。