五稜郭杯争奪戦2022(函館競輪G3)が、2022年5月14日(土)から5月17日(火)の日程で開催されます。舞台は日本にあるすべての競輪場のなかで、最も北にある函館競輪場。「最北の王者」と書いて「最強の王者」と読ませるキャッチフレーズのもとで、激烈な戦いが始まります。
5月の函館は、ようやく過ごしやすい気候が到来する時節です。しかし、それ以上に、五稜郭杯争奪戦の熱気が北の大地であることを忘れさせてくれるかもしれません。
当記事では今年の五稜郭杯争奪戦の見どころを解説し、車券予想に大いに役立つ情報を惜しみなく公開していきます。関連記事も含めて読み返していただき、五稜郭よりも堅固な予想をつくりあげていきましょう。
- 最北決戦!五稜郭杯争奪戦の近年の傾向がわかる
- 今年の五稜郭杯争奪戦は誰から狙う?優勝候補をチェック
- 夏の函館バンクの特徴を知る!車券に直結する情報はこれだ
- 現地観戦希望者にはアクセス情報!新型コロナウイルス対策は万全に
目次
五稜郭杯争奪戦2022(函館競輪G3)の詳細情報
開催年 | 優勝選手 | 所属支部 |
2017年 | 新田 祐大 | 福島 |
2018年 | 和田 健太郎 | 千葉 |
2019年 | 新山 響平 | 青森 |
2020年 | [開催中止] | |
2021年 | 松浦 悠士 | 広島 |
過去5回の五稜郭杯争奪戦では、上記の選手たちが最北の地で最強の称号を勝ち取りました。なお、2020年は新型コロナウイルスの流行に伴う緊急事態宣言が発出されたため、開催そのものが中止となっています。2017年の前、2016年の開催では、2019年と同じく青森の新山響平選手が優勝しました。
こう見てもわかるとおり、「実力者が圧倒的に強い記念競輪」であることがわかります。新田祐大選手、和田健太郎選手、松浦悠士選手は、過去あるいは未来にS級S班となる存在であり、新山響平選手もそれが期待される107期の超有力選手です。
全体的な傾向としては北日本、関東、南関東といった東日本の選手が強い傾向にあり、以前の優勝者にも福島の伏見俊昭選手や茨城の武田豊樹選手といったレジェンドレーサーが並びます。
まさしく「S級S班にふさわしい存在が勝ち取るレース」こそ、五稜郭杯争奪戦と言えるでしょう。これは函館バンクの特徴もかかわってくるところであるため、後ほどのバンク解説を楽しみにお待ちください。
銀輪ギャンブラー真里谷のシリーズ展開予想
五稜郭杯争奪戦において、有力選手となる傾向が見えてきました。そうなると、2022年のこのシリーズも概ねどのように推移していくかを予想することが可能です。
今回、函館競輪場には豪華メンバーが集まります。2022年4月下旬現在の出場予定だけでも、平原康多選手、佐藤慎太郎選手、清水裕友選手、さらにS級S班復帰に魂を燃やす新田祐大選手と、輝けるタレントがずらり。
では、その中から特にこの開催で輝くであろう「北の一等星」は誰か?
- 赤パンを奪還せよ!新田祐大の逆襲が始まる
- 「関東の王」平原康多が函館を駆け抜ける
- 地元タイトルで最北最強!菊地圭尚が惑星になるか
やはり北日本と関東の選手に的を絞るべき、そう判断し、上記の3名をチョイスしました。S級S班がずらりとそろったこのシリーズで、あえてS級1班を2名加えています。そして、それだけの価値があることを、下記で項目ごとに解説していきましょう。
シリーズ展開予想①/赤パンを奪還せよ!新田祐大の逆襲が始まる
ナショナルチームでもその力強さを発揮し、東京五輪でも活躍した福島の新田祐大選手。しかし、2021年はついに大レースで栄冠を逃し、S級S班から陥落することになってしまいました。
ようやく勝ち進んだ決勝でも、仕掛けどころを逸してラインにも貢献できない状況。大きな苦しみに見舞われるシーンもたびたびありました。
ですが、2022年、その調子は上向き始め、とてつもない威力のまくりが再び見られるようになってきました。
先の項目でも示したとおり、新田祐大選手はこの五稜郭杯争奪戦の2017年開催の覇者です。超一流であることを示す戦いに勝利した実績は、過去も、現在も、ひいては未来も輝き続けるでしょう。
そして、今年また勝利してV2へと積み重ねることで、さらなるステージへのグレードアップが期待できます。S級S班への返り咲きを狙うためにも、ぜひとも奮戦に期待です。
シリーズ展開予想②/「関東の王」平原康多が函館を駆け抜ける
今年こそは、KEIRINグランプリを勝ちたい。本人はもちろん、ファンが強くそれを望んでいるのが、埼玉の平原康多選手です。これぞ競輪選手という総合力に秀でたレースぶりは、多くの競輪ファンを魅了してやみません。
その能力は39歳の今、ますます充実していっているかのようです。「水都大垣杯2022(大垣競輪G3)」ではすべて1着の完全Vを達成。記念競輪でもかくもすばらしいポテンシャルを発揮できるのは、驚きというほかありません。
さらに、2022年4月現在、「湘南ダービー2022(平塚競輪G3)」が終わった段階での今年度成績をご覧ください。
1着 | 2着 | 3着 | 4着~ | 勝率 | 2連対率 | 3連対率 |
15 | 2 | 2 | 7 | 57.7% | 65.4% | 73.1% |
アンストッパブル!
誰をもってすれば、平原康多選手の快進撃を止められるのでしょう?
今年は特に1着の固め打ち。昨年末のKEIRINグランプリ、関東ライン3車の絶好の機会を逃した悔しさすら感じるハイパフォーマンスで突き進んでいます。であればこそ、五稜郭杯争奪戦においても、そのすさまじいレースぶりが見られるであろう……こう考えるのは、自然であり、当然なのです。
シリーズ展開予想③/地元タイトルで最北最強!菊地圭尚が惑星になるか
時として、競輪界には「不思議」が生まれます。先の項目で名前を挙げた平原康多選手。彼ほどの偉大な選手がKEIRINグランプリを勝てていないことも、そんな不思議のひとつです。
同様に語られる不思議が、北海道の菊地圭尚選手にもあります。それは、「今もって記念競輪を勝てていない」というもの。
1980年4月2日生まれ。2022年4月下旬現在、42歳を数える菊地圭尚選手。177cm85kg、背筋力は250kg、肺活量は5,700ccあるというスーパーマンで、競輪学校の卒業レースでも決勝に進出。2004年にデビューし、同年のうちにS級に昇進、初勝利も挙げました。
その強さたるやすさまじく、2007年には「ヤンググランプリ2007(立川競輪G2)」を制し、当然にグレードレースでの大活躍が嘱望されました。実際に、数々の特別競輪、すなわちG1競走やG2競走に出走し、決勝進出を果たしたことも複数回あります。
ですが、菊地圭尚選手は、これまで一度も記念競輪を制したことがないのです。つまり、G3競走の優勝歴は0回。日本選手権競輪、競輪選手あこがれの競輪ダービーで決勝メンバーにまでなったにもかかわらず、記念競輪で本当に惜しくも優勝を逃し続けてきた事実。
それはこの地元の五稜郭杯争奪戦でも同じであり、あと少しで地元戴冠を目前にしながら、その手からするりとこぼれ落ちていく。そんな悔しい結果が続きました。
40代になった今、彼は衰えたのか。いいえ、そんなことはありません。直近でも3月の「水都大垣杯2022(大垣競輪G3)」で決勝に進出して4着。4月には「日刊スポーツ杯(宇都宮競輪F1)」で3日間すべて1着の完全Vを果たしました。
ならば、今度こそ記念競輪優勝の栄誉を。ほかの誰でもない自分のために、ホームバンクでのそのときを迎えます。
函館競輪場のバンクの特徴
最初に、函館競輪場がどのようなバンクかの結論を言ってしまいましょう。
「函館競輪場のバンク特徴とは、小細工が通用しない王道のバンクである」
あまりにも極端かもしれませんが、あらゆる意味でこの結論にたどり着く、それが函館バンクの持つ個性です。
- 総合力に優れた王者のバンク!函館はクセが小さくて走りやすい
- 脚質よりも競走得点が大切?函館の予想で見たいデータ
- 気をつけるべきは海風!先行選手に不利な条件を見極めろ
よって、上記のような3つのポイントから、より詳しく解説することになるでしょう。そのうえで、当サイトが公開している、函館競輪場を総合的に分析した以下の記事もあわせてご覧ください。五稜郭杯争奪戦の攻略は、これらをもって完成に近づくこと請け合いです。
特徴①/総合力に優れた王者のバンク!函館はクセが小さくて走りやすい
周長400m。見なし直線51.3m。バンクの傾斜、いわゆるカントもそこまできつくなく、走路の幅も平均的な部類に入る。
すなわち、函館競輪場とは「優等生バンク」と表現できるでしょう。この戦法に有利、この戦法に不利という明確なバイアスはなく、ひたすらに選手個人のポテンシャル、ならびにそれら個人が結束することによるラインの結束力、そして彼らと彼女らの織りなす展開によって勝敗が決まる。
そう、これぞ競輪というレースが見られるのが函館なのです。先の項目でも述べたとおり、函館が総合力を試されるバンクというのは、こうした事実に由来します。
特徴②/脚質よりも競走得点が大切?函館の予想で見たいデータ
逃げ切りもある、まくり勝ちもある、番手からの差し込みもある。誰もが思い通りの戦い方ができる函館バンク。必然的に、注目ポイントは「ラインの強さ」という競輪のメインともいえるファクターが最重要です。
そのうえで、あらためて競輪本体の特徴である「競走得点」が、レースの勝敗に大きく影響するでしょう。無論、レースは選手という人間がするものであって、算定された競走得点が走るわけではありません。数字は数字に過ぎないのです。
それでも、競走得点が高い選手が、その高さに見合った戦いを演じやすい場所。このように考えれば、近走あまり調子が上がっていない得点上位選手、あるいはラインの力関係的に人気を落とす得点上位選手が、波乱の立役者になる可能性を秘めているといえるでしょう。
特徴③/気をつけるべきは海風!先行選手に不利な条件を見極めろ
ただ、自然環境という点から、函館バンクの不確定要素と呼べるものをひとつ紹介しなければなりません。
函館競輪場は、というより函館市は「100万ドルの夜景」でも知られるように、海と密接な関係にある街です。なかでも競輪場のすぐ目の前に海があることから、時折、海風が強く吹き付けることがあります。
このとき、函館競輪場はいわき平競輪場のように一部をポリカーボネート製の透明な壁にしているため、風が舞って先行選手に不利になるケースがあります。ただ、一部は風が抜けていく構造になっており、いわき平のように極端に風が回り続けることはありません。
とはいえ、海風というものは時として強烈であり、先行選手、とりわけ逃げラインで引っ張る選手にとってはかなりの負担になることもあるでしょう。このときばかりは、別線の大駆けを警戒することも視野に入れるのをおすすめします。
五稜郭杯争奪戦2022(函館競輪G3)のまとめ
かつて戊辰戦争の終焉の地となった五稜郭。ヨーロッパの星形要塞に範を取ったこの地で、意地と誇りをかけた戦いが行われたことがありました。
そして、現代。競輪選手たちがかつての志士のように、命がけでバンクを駆け抜けていきます。その姿は私たちの心を熱くし、時としてつらく悲しく感じられる世相を、力強く「楽しむ」方向へと変えてくれるでしょう。
最北の王者にして最強の王者は誰だ。それを目撃するのは、あなたです。その手に車券があったなら、楽しみは2倍3倍とふくれ上がることでしょう。しかも、当たったなら、何にも勝る芳醇な思い出として、五稜郭のような確固たる存在となってくれるはずです。
函館競輪場のアクセス
住所 | 北海道函館市金堀町10-8 |
電話番号 | 0138-51-3121 |
全43場ある日本全国の競輪場のなかでも最北端に位置しているのが、北海道函館市にある函館競輪場です。冬は開催がないかわりに、バンク内に氷を張って「函館市民スケート場」として営業する点に特色があります。
最寄り駅からは距離があるものの、函館市内にあることからアクセス手段は豊富にとりそろえられています。駐車場の台数が少ないことを鑑みても、公共交通機関によるアクセスのほうが望まれる立地といえるでしょう。
電車・無料送迎バスでのアクセス
函館競輪場の最寄り駅は、JRの「函館駅」です。ただし、先に書いたように駅から本場までは遠く、徒歩だと1時間はかかってしまうでしょう。
このため、無料送迎バスである「りんりんバス」を利用することが推奨されます。りんりんバスはJR函館駅の7番乗り場から発着していて、競輪場直通です。
有料にはなりますが、函館駅から路線バスを使ってもアクセスできるでしょう。この場合、3番乗り場から95系統、または96系統に乗車し、「競輪場通」で降りましょう。路線バスなので直通ではありませんが、バス停からは本場の敷地へは約5分でたどり着けます。
また、「りんりんバス」は十字街から五稜郭経由、昭和営業所から湯倉神社前経由のルートも運行しています。
自動車でのアクセス
函館競輪場には無料駐車場が2つ、北駐車場と南駐車場に分かれて近接していますが、収容台数は240台と決して多くありません。グレードレースともなれば、早期に使用できなくなる可能性を考慮しておいたほうがいいでしょう。